こんにちは、ゴダ(@oogoda1)です。
以前、こんな記事を書きました
この記事は公開と同時に多くの方に読んでいただきました。
また、たくさんの方から「分かりやすかった」というコメントもいただきました。
(読んでくださった皆さん、ありがとうございました!)
ですが、ある時わたしは気づいてしまったのです。
「マカオについて知りたい人も多いのではないか?」
ということに(笑)
たしかに中国・台湾・香港に比べると、マカオの存在感は小さいかもしれません。
ですがマカオも中国の歴史を知るうえで大切な地域の一つです。
というわけで今回も知識ゼロでもあまり頭を使わずにサラッと読めて理解できることを目標に、マカオと香港の違いについて解説いたします。
この記事が多くの方のお役に立ちますように(^_^)
この文章を読んでほしい人
→ マカオと香港の違いが分からない人
→ マカオと香港の違いなんて今更きけない人
マカオと香港の場所確認
マカオを見つけるには、まず香港を見つけましょう。
香港は中国南部にある半島および島からできています。
さらに香港の箇所を拡大してみてみましょう。
すると、香港の西にマカオがあることが分かります。
マカオと香港の基本情報(人口、面積など)
マカオ | 香港 | |
面積 | 28.2km2 | 1,104km2 |
人口 | 65万人 | 737万人 |
人口密度 | 22,872人/km2 | 6,648人/km2 |
1人あたり名目GDP | 69,559US$ | 43,527US$ |
通貨 | マカオ・パタカ(MOP) | 香港ドル(HKD) |
公用語 | 広東語、ポルトガル語 | 広東語、中国語、英語 |
中国返還前 | 1999年12月までポルトガル領 | 1997年6月までイギリス領 |
経済成長率 | -2.14% | 2.05% |
失業率 | 1.9% | 2.68% |
データ元:世界のネタ帳
この表を見てまず目につくのが、マカオの面積の小ささと人口密度の高さです。
香港の面積はマカオの39倍ほどで、香港の人口はマカオの11.3倍ほどです。
香港は人が多いイメージがありますが、マカオはさらに人がぎゅうぎゅう詰めになってるんです。
さらに、歴史的にマカオは元ポルトガル領なのに対し、香港は元イギリス領です。
マカオの公用語は広東語とポルトガル語であり、香港の公用語は広東語と中国語と英語です。
マカオと香港の歴史
「歴史」と聞くと眠くなっちゃう人もいるかと思います。
ですので、難しい言葉を使わず、文字数も少なめにまとめました。
どうぞ読んでやってください(笑)
マカオの歴史
- マカオは元々はただの漁村。
- 16世紀初めに布教や貿易のためにポルトガル人がマカオに出入りし始める。
- しばらく日本・中国・東南アジアとの貿易で栄える。
- 1842年にイギリスが香港を獲得。これを受けて「俺も!」とポルトガルがでしゃばり、マカオ全土を占領・統治。
- 1984年にイギリスが香港の返還を決定。これを受けて「じゃあ俺も!」ということでポルトガルもマカオの返還を決定。
- 1999年12月にマカオが中国に返還される。現在はカジノで有名。
香港の歴史
- 香港も元々は小さな漁村。
- 1841年のアヘン戦争でイギリスが清に勝利し、香港がイギリス領になる。
- イギリス式の資本主義を導入した香港は貿易や金融で繁栄する。
- 1984年にイギリスが香港を中国に返還することを決定。
- 1997年に香港が中国に返還される。
結局、マカオと香港って国なの?なんなの?
マカオと香港は現在、中国の一部です。
どちらも独立国ではなく、中国の一地方都市としてとらえるべきでしょう。
もちろん歴史的にも国だったことはなく、マカオはポルトガル領で、香港はイギリス領でした。
しかしマカオと香港はどちらも外国だった時代が長く、現在も中国から入る際にはパスポートをチェックする必要があります。
つまり、同じ中国国内の移動なのに入国管理のような手続きをしなければ入れないのです。
(日本人はマカオも香港もノービザで90日滞在できます。)
マカオと香港の政治・行政
マカオの政治・行政
マカオは正式には「中華人民共和国・マカオ特別行政区」といい、独立した行政システムをもつ自治区です。
具体的には、マカオ独自の立法機関・裁判所・行政長官(マカオ首長)などが存在しています。
これは「中国による一国二制度」といい、マカオが中国に返還された後も、混乱を避けるために急に中国と同じシステムにせず、まずは分けて統治しようという試みとなります。
ちなみに、マカオは軍隊を持っていないため、有事の際には中国人民解放軍(中国軍)がマカオを守ることになっています。
香港の政治・行政
香港は正式には「中華人民共和国・香港特別行政区」といい、独立した行政システムをもつ自治区です。
具体的には、香港独自の立法機関・裁判所・行政長官(香港首長)などが存在しています。
なお、香港についても中国は一国二制度の統治を行っており、返還後は急に中国と同じシステムにせず、中国と香港を分けてとうちしてきました。
しかし、ここ最近になって香港の中国化を早めたい北京中央政府が、自分たちの意に沿わない人物の立候補を排除するシステムを導入しました。
これに香港市民は「民主的じゃない」と抗議するなど、香港市民と北京政府の衝突が生じています。(2014年の雨傘革命)
ちなみに香港も軍隊を持っていないため、有事の際には中国人民解放軍(中国軍)が香港を守ることになっています。
マカオと香港の言語
会話
第一言語(母語) | 第二言語 | |
マカオ | 広東語 | ポルトガル語 |
香港 | 広東語 | 中国語、英語 |
マカオも香港も、母語は広東語です。
ほぼ全てのマカオ人・香港人が広東語を使って生活をしています。
ただ、過去に統治されていた関係で、第二言語は異なります。
とはいえ全てのマカオ人がポルトガル語を、全ての香港人が英語を話せる訳ではありません。
マカオでは一部のポルトガル系住民がポルトガル語を話すだけです。その数は1万人程度と言われています。
また香港では他のアジアの国と同様、教育レベルが高かったり留学経験がある人が英語を話す傾向にあるのみです。
※なお、香港では返還後の中国政府の教育の成果が出ており、標準中国語が話せる人が増えています。(発音が広東語訛りになってしまっている人はいます)
▼参考記事
文字
中国が簡体字と呼ばれる簡略化された漢字を使用しているのに対し、マカオと香港は繁体字と呼ばれる画数の多い漢字を使用しています。
例えば「広」という字は、中国では「广」と書きますが、マカオや香港では「廣」と書きます。
<「広」の書き方>
中国の簡体字 → 「广」
マカオ、香港の繁体字 → 「廣」
これだけ違うと「うーん、日本の漢字と全然違うな〜」と思っちゃいますよね。
でも日本の漢字と似ていないのは一部の漢字だけで、大部分の繁体字は日本の漢字と同じです。
旅行中もなんとなく意味が分かるのが繁体字。
逆に、中国の簡体字は日本人には非常に読み難い漢字です。
なお、台湾もマカオ・香港と同じ繁体字を使用しています。
マカオと香港のお金(通貨)
マカオのお金「パタカ」
見ての通り、マカオには独自の通貨「パタカ」があります。
パタカはマカオ現地では「澳門幣」「元(圓)」「葡幣」などと表記されており、通貨コードは「MOP」となります。
なお、マカオパタカはマカオ以外では使用することができません。
また、パタカの為替レートは香港ドルと連動し、1香港ドル=1.03パタカで固定されています。
香港のお金「香港ドル」
香港にも独自の通貨「香港ドル」があります
香港ドルは現地では「港幣」「港紙」「塊」「圓」などと表記されており、通貨コードは「HKD」となります。
香港ドルは香港以外にもマカオで使用することができます。
マカオと香港のパスポート
マカオ人のパスポート
マカオの人口は65万人しかいないのでこのパスポートはかなりレアです。
1999年12月以降マカオは中国に返還されました。
当然ですが、現在マカオは中国領となります。
マカオのパスポートには堂々と中国国旗の5つ星がプリントされています。
ちなみに「護照」は中国語でパスポートの意味です。
香港人のパスポート
1997年7月以降は香港も中国領です。
マカオと同じく、パスポートには堂々と中国国旗の5つ星が描かれています。
こちらの「護照」も中国語でパスポートの意味ですね。
マカオ人と香港人のアイデンティティ
ネットで「マカオ人 アイデンティティ」などのワードで検索してみました。
するとたくさんの調査結果が出てきます。
例えばコレ。
マカオの高校生を対象とした世論調査で、自身を「中国人」と認識と回答する割合が減少傾向にあることが明らかになった。
昨年(2014年)11月に実施された最新の調査では、中国人を自認するマカオの学生は55%となり、5年前の9割、3年前の8割から大幅に下落した。
この2014年の調査では、若者の中国人意識が減少傾向にあると出ています。
また、以下の調査結果も見つけました。
調査は今月初めに市内の街頭で18〜45歳のマカオ青年を無作為で選び、所定のアンケート用紙に記入する方式で実施されたもので、調査サンプル数は903件とのこと。
主な調査結果は以下の通り。
・自身を中国人であると認識する:約7割(うち26.8%が強く認識)
・マカオにおける「一国二制度」の実践が成功する:約7割
・自身がマカオ人であることを誇りに思う:約66%
・今後もマカオに残留したい意向がある:約67%
・自身の意見が政府の政策に反映されると思う:1割未満
・マカオメディアが信頼できる:約6割
・SNSを通じて時事問題を理解、共有する:約5割マカオ青年の約7割が中国人アイデンティティ認める – マカオ新聞|The Macau Shimbun マカオでは、12月20日にポルトガルから中国への返還17周年記念日を迎える。マカオ街総青年事務委員会と街区青年協会は12月17日、マカオ青年を対象とした国家(中国)及びマ...
この2016年の調査では、中国人意識が7割を超えています。
ただ、「自身がマカオ人であることを誇りに思う」や「今後もマカオに残留したい意向がある」の比率がどちらも高いことから、マカオ人としての意識も強いと言えるでしょう。
次に、香港人のアイデンティティに関して以下のデータを見つけました。
香港でも香港大学民意研究プロジェクトの調査(2016年6月)によれば、自身を「香港人」と考える人は67.0%(2006年調査では49.9%)であったのに対し、逆に「中国人」と称する者は30.7%(2006年調査では49.5%)に達した。
出典:nippon.com
これは2016年の調査であり、割と直近のデータなので信頼できるでしょう。
実際わたしの知り合いにも香港意識の強い香港人の友達がいます。
わたしにはマカオ人の友達がいないですが、この調査結果を見る限りでは、マカオ人より香港人の方が地元意識が強いことになりますね。
マカオ人と香港人の性格
よく香港人はせかせかしておりマカオ人はおっとりしているという話を聞きます。
香港は東京のような大都市でありアジア金融の中心地です。
忙しいビジネスマンが多く競争が激しいことは間違いないでしょう。
でも最終的には個人の性格によるので「○○人はこう!」と決めつけることはできませんよね。
おっとりした香港人もいれば、せかせかしたマカオ人もいるはずです。
こういうステレオタイプの話はあくまでも参考程度にしておきましょう。
マカオと香港のビジネス・産業の違い
マカオの主な産業
レジャー業(カジノ)、観光業
マカオのカジノ産業は、2006年にアメリカ・ラスベガスの規模を超え世界一に。
香港の主な産業
金融業,不動産業,観光業,貿易業
主要貿易相手国は、輸出・輸入ともに日本が三位。
マカオと香港の食文化
マカオの食文化
マカオの食文化はポルトガルの影響を強く受けています。
町中ではポルトガル料理屋さんを頻繁に目にし、ガイドブックには有名ポルトガル料理の店がたくさん記載されています。
しかし上でも述べたように、元々マカオは広東地方の漁村にすぎませんでした。
だから飲茶や広東料理も楽しむことができます。
なお、上の写真はわたしが実際にマカオで食べたポルトガル料理です。
味は濃い目でけっこう油っこかったのを覚えています。
これ絶対カロリー高い(笑)
なお、他にはエッグタルトやポークバーガーなどが有名ですね。
エッグタルトは元々ポルトガルのお菓子であり、ポルトガル・リスボンにエッグタルトの創始店があります。
私も実際にポルトガルまで行って食べてきたので、興味がある方は私のポルトガル旅行記をご覧ください。
▼参考記事
香港の食文化
香港料理と言ったら広東料理や飲茶ですよね!
香港に行ったら上の写真のような美味しい点心がたらふく食べられます。
また、香港には同じイギリスの植民地であるインド系住民も多く、市街地では美味しいインドカレーを食べることができます。
香港でイギリス料理が食べられるという話はあまり聞かないのはかなり不思議なんですけどね。笑
マカオと香港の街並み
マカオの街並み
マカオの街並みもポルトガルの影響を色濃く受けています。
具体的には、ヨーロッパ風の可愛い建築に、石畳の道、カトリックの教会などをあちこちで目にすることができます。
でも、一歩路地裏に入れば中国風のお寺があったり漢方を売る中国風のお店があったりと、伝統的な風景も楽しむことができます。
また、繁華街や表通りには大型のホテルやカジノもありマカオの街並みは多様です。
ちなみに、マカオの道路標識は中国語とポルトガル語の二種類で書かれています。
英語があまりないので不便に感じますが私たち日本人は漢字がわかるのでまだ大丈夫です。
香港の街並み
香港の街並みといえばニョキニョキと伸びる超高層ビルですよね!
香港は地震がないので、50階や60階の細い高層ビルをどんどん建てることができます。
こういう街並みは日本であまり見ることがないので、多くの日本人はびっくりしてしまうことでしょう。
特に香港島の夜景が楽しめる「シンフォニー・オブ・ライツ」やビクトリアピークから眺める「100万ドルの夜景」は圧巻です!
ちなみに香港の道路標識は英語と中国語での表記になります。
マカオに比べると分かりやすいはずですよ。
マカオと香港の観光地
マカオの人気観光地
聖ポール天主堂跡(歴史、景色)
セナド広場(歴史)
マカオタワー(ランドマーク、景色)
聖ドミニコ教会(歴史)
モンテの砦(歴史、景色)
民政総署(歴史)
媽閣廟(歴史)
聖ヨセフ修道院(歴史)
大聖堂・カテドラル(歴史)
カジノ(レジャー)
などなど
マカオはポルトガルに統治されていただけあり教会や遺跡が非常に多いです。
ですが遺跡群は狭い範囲内に集中しているので一日もあれば全て回れます。
なお、マカオの楽しみは教会や遺跡だけではありません。
マカオは世界一のカジノの町ということで知られています。
日本にはないギラギラした雰囲気を醸し出すマカオのカジノ。
ギャンブルに興味がなくても、入場無料なので雰囲気だけでも楽しむことができます。
香港の人気観光地
ビクトリアピーク(景色)
九龍あたりでショッピング(レジャー)
女人街(ショッピング、夜市)
香港ディズニーランド(レジャー)
黄大仙廟などの有名なお寺(歴史)
蘭桂坊のバーやクラブ(レジャー)
モンコックの電気街をうろつく(ショッピング、夜市)
大仏を見る(歴史)
などなど
こうしてみて見ると、香港の観光地はレジャーやショッピングに偏っていますね。
実際わたしも香港に四回行ったことがあるのですが、歴史的な観光地はお寺とイギリス統治関係の建築ばかりでした。
香港はグルメ・ショッピング・ナイトライフなどが好きな人に向いており、歴史的なものを見るという雰囲気の場所ではないと思います。
最後に
以上、マカオと香港の違いでした。
ものすごく簡単に書いたので、マカオと香港に詳しい人からすると表面的な内容に見えるかもしれません。
ですが、知識がほぼゼロでも読めることを目指して書いたので、ある程度は許してやってください(笑)
なお、この記事を読んでマカオや香港、その他の中華圏に興味を持ったという人がいましたら、ぜひ以下の本を読まれることをオススメします。
現代の中華圏を理解するにはこちらもオススメ!
コメント
コメント一覧 (3件)
今月末、香港とマカオに行きますが知識がゼロだったので非常に参考になりました!ありがとうございました(*^^*)
まりこ様
管理人です。
お役に立てたようで何よりです。
香港・マカオ旅行楽しんできてくださいね⭐︎
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