どうも〜、ゴダです。
今回はちょっと視点を変えて、台湾に住むムスリム(イスラム教徒)にフォーカスを当てます。
先日、台湾でこのようなニュースがありました。
假羊肉竄台1/SGS認證「羊肉沒有羊」 黑心商人「豬裝羊」火鍋熱炒都受害
このニュースは、台湾の生肉業者が羊肉と偽って実際は豚肉を売り、台湾に住むムスリムの人が豚肉を食べてしまったという内容です。
ご存知、ムスリムの人にとっては豚肉とお酒はタブーです。イスラム教徒にとって絶対にあってはならないことが今回起きてしまったのです。
実はこのニュースは「ムスリムの人が宗教的タブーを犯してしまった、かわいそう」という単純なものではありません。
台湾は外交策(新南向政策)として東南アジアから労働者を多く引き受けており、イスラム教徒が多いインドネシアの方々も多数働いています。
このような事件が起きてしまうと、台湾の外交策にも影響が出て国家間の問題に発展する可能性があります。
一つの企業(個人)の判断により国全体の政策や外交にダメージが出てしまうは本当に恐ろしいことです。
事件のあらすじ
事件は台北市内の市場で起きました。
市場内のある精肉店は羊肉を取り扱っていましたが、相場よりもずっと低い価格で販売していました。
のちに台湾検験科技股份有限公司が2回検査を行い、この肉は羊肉ではなく豚肉であることが分かりました。
しかし時すでに遅し。
この会社の羊肉(本当は豚肉)は台湾各地に出回っており、ムスリムの元にも届けられていたことが分かったのです。
台湾にはムスリムがどのくらいいるのか?
資料によると、2021年の時点で台湾には約28万人のムスリムがいました。
イスラム教を信仰する台湾人はほとんどいないので、この28万人はほぼ外国人だと思われます。
おそらく新南向政策で受け入れたインドネシア籍労働者なのではないでしょうか。
新南向政策とは?
新南向政策とは、台湾の民進党が推進する外交政策です。
東南アジア、南アジア、オーストラリアなどの国との関係を深めるため、様々な交流事業を進めています。
その交流事業のうちの一つが、東南アジア人を労働者として台湾が短期で受け入れるというものです。
台湾としては工場や農場の労働者不足が解消でき、東南アジア人としては台湾の給与水準の報酬を得ることができ、ついでに技術力を向上させることができるという双方のメリットがあります。
言ってしまえば、東南アジア人が台湾で働けるワーキングホリデー制度みたいなものです。
インドネシア、フィリピン、ベトナムは日給が1000円に満たないですが、台湾は日給6000円以上稼げます。
よく日本人の若者がオーストラリアの農場に出稼ぎに行きますが、あの感覚に似ているかもしれません。
今回の事件がどのように外交政策に悪影響を与えるのか?
日本人の感覚からしたら分かりにくいですが、ムスリムの人たちは本当に宗教熱心であり、宗教的タブーは絶対に犯しません。
チョコレートに少しお酒が入ってるだけでもアウトです。ましてや今回のような豚肉を丸ごと食べてしまうような事件は最悪です。
これだけ深刻な事件が起きると、ネットの力も作用してインドネシアで「台湾は危ない」という情報が広まる可能性があります。
そうなると台湾に来たがるインドネシア人が減り、台湾民進党が推進する外交政策に悪影響が出る恐れがあります。
個人や企業のちょっとした過ちにより国の政策に影響が出てしまうのは本当に恐ろしいことですね。
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