
スコットランドの国旗
2014年のスコットランド独立投票のことを覚えている人は多いでしょう。
結果は独立賛成が44.7%で独立反対が55.3%であり、スコットランドがイギリスにとどまることになりました。
しかし2016年6月にイギリスの欧州連合脱退が決定したことを受け、スコットランド内で再度イギリスからの独立投票を行おうという動きがあるのです。
独立投票を行うためにはイギリス議会の承認が必要ですが、イギリスは民主的な政治を重視しているためスコットランドが望めば投票は再度行われることになるでしょう。
そこで今回は、スコットランド独立の可能性について考えてみました。
イギリスとスコットランドの違いって何?
イギリスとスコットランドの関係について詳しくない人もいるかと思いますので、まずはイギリスの超基本から説明していきます。
イギリスはイギリスという一つの国です。
しかし、もともと独立していた4つの国が集まって、今のイギリスという一つの国を構成しています。
その4つの違う国とは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドのことです。
昔はそれぞれ独立国だったのですが、イングランドが戦争で征服するなどし、今はイギリスという一つの国になっています。
見た目上はこれらの国々に上下関係はありませんが、ロンドンがイギリスの首都となっていることから分かるように、事実上の統治者はイングランドとなっています。
なぜ再度スコットランド独立投票を行うのか?
イギリス国内での4つの国の人口比は、イングランドが83.9%、スコットランドが8.4%、ウェールズが4.8%、北アイルランドが2.9%となっています。
スコットランド人はイギリス国内の8.4%と少数派ですので、イギリス国内では多数派であるイングランドの意見が通りやすいようです。
実際、2016年6月の欧州連合脱退を決める投票の際も、スコットランド人の多くは欧州連合脱退に反対でしたが、イングランドの意見が通ってしまいました。
【参考資料】
スコットランドの欧州連合離脱 賛成派:38%
スコットランドの欧州連合離脱 反対派:62%←EU離脱に反対が多数
このように多数派のイングランド人の票に押され、イギリス全体として欧州連合脱退が決定してしまいました。
そして今回、この結果に不満がをもったスコットランド首相は、“スコットランド”という一つの国として欧州連合に加盟するために、2018年の独立投票を計画しています。
イギリス議会から独立投票の承認は得られるの?
独立投票を行うにはイギリス議会の承認が必要となります。
ですが、イギリス政府は地方を押さえつけるような政治ではなく、全ての国民の意見を尊重する民主政治を重視しています。
ですので、再投票についても承認される可能性が非常に高いです。
スコットランドが独立したら何が起こるの?
イギリスは北海油田を失う
スコットランド近郊に北海油田という油田があります。
現在北海油田の利益はイギリス全体で享受していますが、スコットランドが独立すれば北海油田もスコットランドの土地になってしまいますので、イギリスの利益は無くなってしまいます。
ちなみに北海油田の原油推定埋蔵量は130バレルあります。これがどのくらいすごい量なのかを実感することは難しいですが、イギリスは欧州連合最大の原油産出国とのことです。(Wikipediaより)
スコットランドは北欧型の高福祉社会になる
スコットランドの人口は529.5万人でとても少ないです。
この人口規模で北海油田の利益を分け合えば、北欧のような豊かで高福祉な社会を実現することができるという試算が出ています。
実際、ノルウェーは508.4万人の小さな国であり、北海油田のおかげでかなり豊な生活をしています。(一人当たりGDPは世界トップ)
他にも、デンマークも561.4万人という少人数でデンマーク領フェロー諸島周辺の油田の利益を享受しているので、世界でも有数のものすごく豊かな国になりました。
そしてスコットランドは、北欧の福祉大国ノルウェーとデンマークの成功を見て「俺にもデキる!」と意気込んでいるということです。
イギリスの国旗が変わる

イギリスの国旗
今のイギリスの国旗は「ユニオンジャック」という4つの国旗を合わせた超かっこいい国旗となっています。
しかしスコットランドが独立してしまえば国旗のデザインを変えないといけないので、現在のかっこいいデザインはなくなってしまいます。
洋服、携帯のカバー、カバンなど様々なところに見られるイギリス国旗のデザインですが、これらが一気に変わってしまうということです。
新しい国旗を見てみたい気もしますが、今の超かっこいいユニオンジャックが見られなくなるのはちょっと寂しいですよね。
なぜこんな事態になってしまったのか?
これはもう大昔にイングランド人が好き放題戦争して領土を拡大してきたので、そのツケが今になってきているということなのでしょう。
昔みたいに植民地があるのが普通の時代はそれでもよかったんですけど、今のように「民主主義サイコー!」みたいな時代になったらイギリスのような多文化国家ではいろんな問題が出てきてしまいます。
なお話はそれますが、香港と中国が今ギクシャクしてるのもイギリスに一因があります。
やはり、あまり領土を広げすぎるといつかそのツケがきちゃうのでしょう。
ズバリ、2018年スコットランド独立の確率は???
2014年の頃はエコノミストたちが独立の確率は45%だの55%だのと言っていました。
今回はまだ議会の承認すらされていないので、スコットランド独立の確率を予想する人は少ないようです。
それでも一部には独立支持派の数を調査している人もいるようですね。
この調査によると、現時点で独立賛成派の数は過去最高に達しています。
しかしそれでもやはり独立反対派が優勢です。
上でも述べた通り、以前はEU残留派が62%いました。
しかし現在は、EU残留を支持するスコットランド人が減ってきています。
それはなぜか?
これには近年の移民問題などが大いに関係しています。
みんな移民に来て欲しくないので、移民受け入れを推進するEUに残留したくないのです。
EUに残留したくないスコットランド人は、イギリスのままでいいと考えています。
だから今回の投票は独立反対派が優勢ということなのです。
投票まではまだ少し時間がありますし、投票が行われるかどうかすらもまだ決まっていません。
それでもスコットランド独立は今後のヨーロッパ全体に大きな影響を与える問題ですので、今後もこのニュースから目が離せませんね。
コメント
まさか本当に独立するほどスコットランド人は馬鹿じゃないと信じたい。
そうですね。今はEU残留派も少ないようですし、独立の可能性は低いでしょうね。